和製オドラデクの生活環

きみの物語は終わった/ところできみはきょう/おやつに何を食べましたか――富岡多恵子「静物」

詩の話

軽率な言葉――富岡多恵子の詩作品における死について

今回は『現代詩文庫15 富岡多恵子詩集』から、とりわけ当初は詩集『女友達』(1964)にまとめられていた作品群を取り上げて、読んでみようと思います。 富岡多恵子は小説家や評論家として有名ですが、優れた詩人でもありました。 私の偏愛する『女友達』とい…

ニュースではなく、死を語るための虚構――粕谷栄市「死と愛」

「死んでしまった一人の少女に就いて、書いて置きたい」。 これは粕谷栄市の処女詩集『世界の構造』(1970)に収められた「死と愛」という作品の冒頭です。彼は禁欲的とさえ言えるほどの一貫性を持って、当時すでに確立されていた自身のスタイル、つまり「散…

扉の前で、もの思う子供――吉行理恵の詩的自我

以下の記事は、2014年の秋に個人的に書いていたものです。 加筆修正のうえこのブログに転載し、公開しようと思います。 ***************************************************************** 吉行理恵(1939-2006)という詩人がいます。 あの吉行一家の末っ…